脳髄日和
てらっち的ポエム、あるいはエッセイ。
最新コメント
カテゴリ
プロフィール

teracchi

Author:teracchi
リア充撲滅委員会・会員No.072
てらっちです。

リンク
ブロとも申請フォーム

--.--.--_--:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


2010.04.22_05:00
僕には人間の友人はいないけれど、自然の中にならたくさんの友達がいる。
たとえばつい先日は、一年ぶりの旧友と再会した。
「やあ久しぶり、秋さん」
僕は彼女のことを『秋さん』と呼んでいる。
声をかけると、秋さんは挨拶代わりに北風をびゅっと吹かせて、それから台風15号クンを紹介した。
秋さんは毎年九月の中頃になるとどこからともなくやってきて、たいていの場合、赤道付近で生まれた暴れん坊の台風クンを二、三人連れてくる。
彼女は概して、移ろいやすい性格だ。
気分屋といってもいい。
昨日まで太陽氏とイチャイチャしていたと思ったら、とつぜん雨さんや台風クンに乗り換えたりする、かと思えばまた太陽氏に戻ったり、といった具合だ。
しかし、彼女の一番のお気に入りは夜さんだ。
いつも午後四時すぎになると太陽氏を追い返してしまい、それから半日ほどのあいだ夜さんと過ごす。
彼女と夜さんとのあいだに流れる時間はとても濃密で、だから秋さんがやってくる時期は決まって夜が長くなるのだ。
そんな彼女ではあるけれど、単に気まぐれな女性というわけじゃない。
ときどき彼女は、もの憂げでセンチメンタルだったりする。
夕焼け空や虫の音、冷たい北風。
彼女がふとしたときにみせる表情や仕草は、僕をほんのすこし寂しげな気分にさせる。
それから、これはもっとも特筆すべき点なのだけれど、彼女はとびきりの美人で、とても魅力的な女性だ。
彼女を前にすると、山さんや森さんは照れてしまって真っ赤に染まる。
彼女は世界を赤面にさせる魔法のような魅力をそなえているのだ。
僕も、そんな秋さんのことが好きだ。
たとえば彼女のつくるご飯はとてもおいしい。
秋刀魚は脂がのってて最高だし、栗ご飯や筍ご飯なんかもいい。
まだ食べたことはないけれど、松茸料理も彼女の得意料理らしい。
柿や梨も甘くておいしい。
秋さんのつくる料理を食べると、僕はいつも元気になれる。
そんなとき僕は、彼女のことを、お母さんみたいだなと思う。
彼女と散歩をするのも好きだ。
並木道を歩くのが特に好きだ。
落ち葉をカサカサとふるわせたり、風をビュウと吹かせたり。
秋さんはいつも優しい声で話しかけてくれる。
そんなとき僕は、彼女のことを、お姉さんみたいだなと思う。
それから、僕が一番気に入っている彼女との過ごし方は、読書だ。
よく晴れた日は、秋空の下で寝転びながら。
雨の降る夜は、ベッドに潜り込んで。
僕が本を読んでいるとき、秋さんはいつもそっと僕に寄り添っていてくれる。
まるで、世界には僕と秋さんの二人だけしか存在しないみたいに。
そんなとき僕は、彼女のことを、恋人みたいだなと思う。
けれども、秋さんは僕の恋人ではない。
お母さんでもなければお姉さんでもない。
彼女とずっと一緒にいることは、できないのだ。
おそらく十一月の終わり頃にはまたどこかへいってしまうだろう。
だから僕は、それまでの短い日々を大切に過ごしたいと思う。
彼女といられる一瞬一瞬が、僕の心にちいさな幸せを芽生えさせてくれるから。
「僕は君のことが、好きだよ」
天高く澄みきった青い空に向かって、ささやきかけてみる。
すると彼女は照れくさそうにしながら北風をそっと吹かせて、僕の頬に優しいキスをくれた。
スポンサーサイト


この記事へのトラックバックURL
http://uncofilms.blog22.fc2.com/tb.php/13-0acfdd09
この記事へのトラックバック
この記事へのコメント
Name
E-MAIL
URL

password
管理者にだけ表示を許可

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。